夜 間 飛 行 惑 星

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□ 詩に至る病 □

月の裏側

深夜の台所に立って、青背の魚を思わせる鈍(なま)った包丁を研ぐ。
台所にいるときの君は、いつも何かしら口ずさんでいた。
韻文と散文の違いなんて僕には判らない。
理解っているのは君がもう戻らないこと、それだけ。
冬の夜更けに独りで刃物を研いでいる。
濡れた僕の手を照らすのは、不器用な誰かに割られた不格好な半月だ。
気まずすぎる沈黙や嘘を孕んだ笑顔に、耐えきれなくなってとどめを刺したのは僕自身だった。
罪は黒い影の側に塗り込められている。
明るい部分は日に日にまるみを帯びてゆくけれど、月が僕らに見せているのは本当は表の顔だけだ。
僕を赦した君を許せなかった僕を、君は忘れてしまうかい――?
永遠に明けない夜の底で、光るのは磨かれた刃物。
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