夜 間 飛 行 惑 星

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□ 箱庭(小説) □

World's End

「――とうとう、正真正銘二人きりになっちゃったね」

 朝靄の中、まだ弱い光を背にして立ち尽くす彼に、肩を抱くようにして寄り添いながら囁く。
 あぁ、と肯定の返事とも溜息ともつかない曖昧な返事。表情はややうつむきがちの頬を覆う髪のせいで読めない。

「寂しい?」

 僕の問いに彼は、ゆっくりと首をかしげるみたいに顔を起こした。潤んだ瞳が僕を見つめ、スローモーションのように二三度瞬く。

「……いや」

 さみしくはないよ、と小さく笑う。

「おまえ、いるじゃん」

 僕が衝動的に伸ばした手を、彼はよけなかった。しがみつくみたいにして肩に顔を埋めた僕の背中を、やわらかく抱きしめ返してくる。

「あなたがいてくれて、よかった……」
「俺も、おまえがいて、うれしい」

 行こうか、と彼が僕を促す。
 靄も晴れ、すっかり明るくなった。地平線まで続く廃墟と化した街、二人の足音以外には音もない世界。
 ぽつりぽつりと瓦礫に光る朝露は、ダイヤモンドのように煌めいている。
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